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インタビュー 松本卓也監督「映画製作と地方」-前編-

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映画監督松本卓也

映画監督/松本卓也
映像製作団体「シネマ健康会」代表。
商業映画からインディペンデント映画まで活躍する映画監督。
「ノーマネー、ノー真似」の精神から映画製作を始め、創作された映画は各所の映画祭でも高い評価を受ける。「ゆうばり国際ファンタスティック映画祭2019」でワールドプレミア上映された「ダイナマイト・ソウル・バンビ」が韓国プチョンファンタスティック国際映画祭で上映され高い評価を受けている。

―プチョンファンタスティック国際映画祭お疲れさまでした!(プチョン帰国翌日にインタビュー)
上映の反響はいかがでしたか?―

松本監督 :「ダイナマイト・ソウル・バンビ」を上映していただきまして、凄い熱気で…上映後質問してくださってサインを求められて、骨抜きですね。 見ている最中も小さな笑いのポイントで声をあげて笑ってくれて、日本より笑ってくれるポイントが多かったです。

富川ファンタスティック国際映画祭/松本卓也監督titterより
富川ファンタスティック国際映画祭/松本卓也監督Twitterより(@matsu301)
映画祭で求められた監督のサイン

―地域の話に行く前にプチョンで上映された「ダイナマイト・ソウル・バンビ」について少しお教えください。―

松本監督 映画を作る人の話なんですが、劇中で作っている映画と劇中のメイキング映像で構成された作品で、現場にいるロケ隊の一人として映画を見ていただけるとより楽しめる作品になっています。

ダイナマイト・ソウル・バンビ/ 松本卓也監督Twitterより(@matsu301)

松本監督: この作品を作ったきっかけが映画のDVDに入っているおまけのメイキングだったりするんです。よく好きでメイキングも見ているんですが、メイキングって魅力的だと思っていて、本編を底上げしてくれる存在で、たまーに本編より面白い場合があって、それがすごく魅力的で…。

 僕は映画業界の本流の人間ではなくて雑草、インディペンデントから来ている人間だからいつか下克上したい。作品だとメイキングが本編を下克上したら面白いんじゃないか?と言う発想からきていて、本編とメイキングを同時に見ると言う映画を見たことが無かったので、映画一本でDVDを体験できる作品を作ってみたいと思って作りました。
なのでその辺を混乱せず見てもらえたらすごく楽しく見ていただけると思います。

映画「ダイナマイト・ソウル・バンビ」trailer/Youtubeより

―東京出身の松本監督から地方愛を強く感じるのですが、まずは地方ロケを始めたきっかけは何だったのでしょうか?―

松本監督:中学生の時に国際交流団体ラボっていうものに入っていたんです。日本語と英語を交互にやっていくっていう劇を週に一回集まって作りあげて発表会をするっていう団体なんですが、それが全国にあるんです。それでその団体のキャンプって言うのがあってキャンプに行くと日本全国、北海道から沖縄からってみんな集まってキャンプして劇を作りあげるんです。
中学校の頃から日本全国の友達ができるっていう珍しい体験をしていたんです。そこで初対面の人と接する事が好きになって、地方への憧れが生まれて、東京にないものがあるところが「面白いなー!」って凄く思って。沖縄のラボの先生に会いに行ったついでに映画を撮ろう!ってなったり地方で撮るようなことがだんだん増えていったと言うのが始まりですね。
初対面の人に接する度胸がついて、地方の良さを知れて、地方を身近だと感じることが出来たことが大きいと思います。

―映画製作において地方ロケの良さとはどんなところですか?―

松本監督:全てが新鮮という所ですね。創作活動って常にマンネリと戦わなければいけないと思うんですが、マンネリ打破の一つになっていますね。普段見ていない風景もそうですし、新たな人に出会うことが出来ますからね。

 それとロケーションの綺麗な瞬間を切り取れた時とかは地方撮影して良かったな!と思う瞬間ですね。
ロケハンの時の方が良いロケーションの時もあるんですけどね!(笑)


 地方ロケ一番の良さはやっぱり人ですね。「この人に会えた!!」ってなると嬉しいですね。ロケーションも大事だけど、最終的には人が大事なのでその人に会えたっていうのは地方ロケして良かったとなるところですよね。
「この人に会えてよかった!」ってなる人って普段映画とは無関係の人が大半で、「初めて映画なんて手伝ったよ!」って人も多いですし地方ロケしていなかったら出会うことのなかった人と出会えるのが良いですね。

―逆に地方ロケで苦労する点はありますか?―

松本監督:まずは「未知の場所」これはいい点でもあるんですけど、一から条件に合う場所を探さなければならないし、低予算映画であれば余計絞られてきてしまうので、くまなく当たらなければいけない。これは楽しさと苦労の表裏一体ですよね。

 ロケハン前にイメージくらいの脚本・企画を書いて地方にロケハンに行って、この人良いな!とか馬が合う人とかのコネクションから段々ロケ地とか探すんです。よく「どういう所を探していますか?」って聞かれるんですけど、あんまりなくて「とにかく見たいです!」って見せてもらうんです。
役者と同じでロケ地もキャスティングだと思っていて、協力可能なロケ地をとにかく見て、良い場所があれば脚本に加える。そこから脚本を固めるんです。役者のキャスティングによって脚本変えるように、凄く良いロケ地が見つかったり、この人凄く好きだからこの人の持っている場所を使いたい!っていう事でバンバン台本が変わっていくんです。

松本監督:初めていく場所の場合、すぐに良い人と出会えれば良いんですけどなかなか巡り合わない時とか…やっぱり常に意識しなければならない事は「いきなり来たよそ者」で低予算でお金もないのに「協力してくれませんか?」と言っている身なのでそこは苦労します。
相手から見たら完全に異物じゃないですか。ダメなときはダメですけど、良い場所が見つかったら交渉していくしかないし、そういった苦労はあります。

 あとはロケになれた地域の紹介だと「お決まりの場所」になるんですよ。
市とかが関わっていたりすると問題が起きるのが嫌なので「ここはいつも撮影OK!」みたいなところしか出てこないし推してくるんです。


 ロケ地でも極力他の作品と被りたくないんですよ。映画のテーマとして「見たことのない映画を作りたい」というのを持っているので、よく見るロケ地に魅力は感じないんです。
そういう場合は地元の人と知り合いになったり、地元の劇団に連絡して出演者のキャスティングもロケ地も聞いたりしますね。

 食べ物屋のシーンでも地元の人にヒアリングして「この地域のこの店のこれが有名って聞いたんですけどどうなんですか?」って聞いたときに「あーあそこは有名だけれども観光客が行くところだよね」とかなる時がある。ご当地映画を撮る場合でその地域に住んでいる役の人がふらっと店に入るシーンがあった時にリアルじゃなくなる、違和感になる。そういうところは地元の人に聞くのが一番で、そういうリアリティは凄く欲しいので地元の人が行く店を一からあたるのが結構苦労だったりしますね。

―細かいロケ地の前の、どこの地域で撮るというのはどのように決められているんですか?―

松本監督:知り合いのつながりや、知り合いがオススメしているとか、プロデューサーの一声だったり、映画祭の企画募集ということが多いですね。

 10年以上のつながりになっている新潟の粟島っていう所も、元々は新潟にお笑い集団NAMARAっていうプロダクションがあって、その代表で非常にリスペクトしている江口さんに「まっちゃん離島好きだったよね?ちょっとロケハンしようよ」って言われてその流れで粟島で映画とりました。

2006年に新潟の粟島で撮影されたシネマ健康会のインデペンデント映画
『ナイランド ~なくし者賛歌~』予告/Youtubeより

インタビュー 映画 松本卓也監督「映画製作と地方」後編へ続く

インタビュー取材…哉司
企画・制作…Threeps

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