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インタビュー 松本卓也監督「映画製作と地方」-後編-

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インタビュー中の松本卓也監督

映画監督/松本卓也
映像製作団体「シネマ健康会」代表。
商業映画からインディペンデント映画まで活躍する映画監督。
「ノーマネー、ノー真似」の精神から映画製作を始め、創作された映画は各所の映画祭でも高い評価を受ける。「ゆうばり国際ファンタスティック映画祭2019」でワールドプレミア上映された「ダイナマイト・ソウル・バンビ」が韓国プチョンファンタスティック国際映画祭で上映され高い評価を受けている。

インタビュー 映画 松本卓也監督「映画製作と地方」前編へ

―前回から引き続き松本卓也監督に「映画製作と地方」について伺いました―


―松本監督率いるシネマ健康会と言えば、地方での合宿のイメージが強いのですが、やはり合宿が良いですか?―

松本監督: 最近では合宿したいから地方ロケしよう!みたいな逆な発想の時もあります。(笑)
合宿で地方ロケが凄く良いなって思うのは「逃げ場を作らない」ってところですね。家に帰れるとリセットできてしまうんだけど、合宿にすると合宿が好きでも嫌いでもとにかく突っ走んないといけない状況になるんですよね。それが低予算映画をやっていて、短い日数で撮らなければいけない状態だと「凄く良いドーピング」になりますね。

―それを聞くと低予算映画製作やっている方々にもオススメですね!―

松本監督: 本当にそうです!合宿をやると”ひととなり”が大体8割くらいが見えてくるはずなんですよ!通いでロケやっていると3割~5割とかしか見えないものが団体生活になるともっと見えて、できれば個人部屋よりも大部屋とか5~6人部屋での団体生活の方がひととなりが見えて、人と人が知り合って知れば知るほど信頼関係が生まれやすいと思うんですよ。それが良い映画作りに繋がればいいと思うんです。

―良い点の多い合宿ですが苦労する点はありますか?―

インタビュー中の松本卓也監督

松本監督: 僕みたいに団体生活が好きな人ばっかりじゃないので、団体生活苦手な人が出てきた場合…大変ですよね、その人が。(笑)

 それといつも苦労するのが宿泊先!予算の少ない映画を作る場合が多いので予算内で協力してくれるところを探すのが大変ですね。雑魚寝でいいから大部屋がある場所を探したり、普段は宴会用やご飯を食べる場所として使っている部屋に布団だけあれば良いとかって交渉していったり、片っ端から連絡しています。これは新しい土地に行くと結構な苦労ですね。

―地方ロケする時にその地域にあってほしいものとは?―

松本監督: 具体的になってしまうんですけど、宿とか…弁当屋ですね!
たまに炊き出しとかになるとメッチャテンション上がりますけど、大半は弁当なんです。低予算映画なのでなるべく安く作ってくれて、20人とか50人分とかをロケ先に届けてくれる弁当屋!これがあると楽になりますね!日によってその地域の色々な場所で撮影しているので安くて届けてくれる弁当屋は重要です!

 それと、俺はそうでもないんですけどスタッフやキャストにヒアリングすると…「ドン・キホーテあればなー!」って言うのが多いですね。(笑)
調べてその地域に無いと「くそ無ぇー!せめてコンビニ…」とか言ってますね。地方ロケ行くと皆行きたがるんですよ!若手の女の子とかになると、少し離れたところにドンキがあると「もうダメだ…ドンキ行きたい!」とかなってます。(笑)

 俺個人で言うとですけど、温泉があるかないかはかなり重要で温泉が無いとかなり凹むんですよね!

―松本監督作品に温泉ってよく出てきますよね!―

松本監督: そうなんです!温泉愛はかなりあって作品に出てこなくても地方ロケの時は温泉に期待しちゃうんです!
東京の温泉って黒湯が多くて、ほかの地方のアルカリとか硫黄とかの方が効きが違う気がして、そう考えると地方行ったら温泉ある方が良いなって。

 でもたまに温泉が無い土地もあるんです。ロケハン行って温泉が無いとわかると「違う地域に変えよう」って考えることもリアルにあります!
温泉の有り無しは作品の質にも関わっている可能性はありますね。(笑)

温泉の出てくる作品「七子の妖気」予告/ Youtubeより
那須温泉映画祭CM完全版/Youtubeより
温泉の出てくるPV 「カルト温泉 西方の湯でワンカットアクションPV!」/ Youtubeより
ダイナマイト・ソウル・バンビでも温泉?/ 松本卓也監督Twitterより(@matsu301)

―撮影以外でも地方とのつながりってありますか?―

松本監督: 大体つながりのきっかけは映画撮影というのが大半ではあるんですが、撮影中は余裕がないので撮影が終わった後ですよね。上映の時とかプライベートで行った時に初めてゆっくり出来て話も出来て。「松本監督!やっとゆっくり話せるね!」とか言われたり色々な所に連れて行ってもらったり出来る。
 映画撮影で多いのは東京から撮影隊だけブワーって来て、キャストも東京から来て、ブワーって帰って行って。「上映になりました」と言っても何か来るわけでもなく…。ってのが多いイメージなんですけど、自分のスタイルとしてはそういうのは極力避けたいんです。映画の撮影がきっかけで知り合ってそれで終わりじゃなく、そこからスタートにしたいと心がけています。

―物語の必要性以外での東京都と地方の使い分けはありますか?―

松本監督: 基本地方なんですよ。逆に「なんで東京を使うか?」って時の方が明確なんです。
自主映画を趣味で始めた頃は、東京のこの辺の初台・幡ヶ谷で撮っていたので原点回帰の意味がある時はこの辺で撮るとか、撮り始めた頃の初期衝動を呼び起こしたい時だけ撮ったりします。

 あとは映画の中で「東京」というものが必要になった時だけ東京で撮りますね。どこでも大丈夫だったら絶対地方ですね!

―原点回帰の時に東京を使うと言うのは松本監督作品を見る上で知っているとより楽しめる事かもしれませんね!―

松本監督: そうかもしれません。「ダイナマイト・ソウル・バンビ」の中で俺が演じている役で監督役の山本と言う役があるんですけど、山本監督が昔撮った作品っていうのが劇中に出てくるんです。それは最近撮っているんですけど、それは自分に当てはめてあえて初台・幡ヶ谷だけで撮ったりとかしています。

「ペーパーロード」という作品があるんですがそれは新潟に営業に行く落ちぶれたお笑い芸人の話なんですが、最後に新潟に営業に行くっていう時には新宿で待ち合わせていくんです。そういう時は原点回帰の意味で新宿とかそういう時だけ出てくる。

映画「ペーパーロード」予告編/Youtubeより

―松本監督の今後の展望を教えてください。―

松本監督: 「あまり見たことのない作品を見ていくと凄い定番なところに行く」もしくは「定番なものに見えて実はあまり見たことない作品」それが結局は「エンターテインメントにいく」そういった作品を作り続けていきたいですね。

 俺の始まりがお笑いをずっとやっていて、お笑いのゴールって「ウケること」たまたま好きな笑いも歌も映画も全て「エンターテインメント」で、ウケる人は一人でも多い方が良いっていうのが芯にあるんです。「わかる人だけわかればいいや」って方よりかは「一人でも多くの人に届けたい」というのがあるので作り始めからエンターテインメント畑なのかなと思います。

 普通のエンタメって言うとヒーローが出てくると思うんですけど、俺の映画ってヒーローって出てこないんですよ。「ダイナマイト・ソウル・バンビ」で言うと山本っていう最低な監督が居て、その先輩ディレクターもそこそこ酷い奴で、でもそれを支える人たちはいい人たちがいて。でも酷い監督2人が軸なのでエンタメになりにくくて、普通のエンタメだったら片方をヒーローにしたりするんだけどそうじゃないんですよね。等身大な話が好きなので…ヒーロー映画もメッチャ見ますけど好きなやつって何気にヒーローじゃないやつなんですよね。どこかに欠陥があったり自分の等身大だったりというのが好きで、それが自分の映画にも影響していて、等身大だったり少し背伸びをしたくらいの作品を描いていきたいですね。


 10年20年後の展望は、もっと予算のある映画で…けど等身大の人間を描きたいですね。それはその時のと言うより今のまんまの等身大で。

―最後に…今後地方はどうあってほしいですか?―

松本監督: 良い所は残してほしいですよね。どんどん地方が都会化しているイメージがあって、便利になるのはいいことだと思うんです。地方に住む人にとっては便利な方が良いので。どんどん大型商業施設ができて、商店街がつぶれて…ってなって、便利になるのは良いんですけど、やっぱり減っていくんですよ…景色が。
 原風景とかも減っていって、そこが難しい所で、そこに住んでいない覚悟のない人間が言えない事なんですけど…やっぱり上手いこと地元ならではの風景とか建物とか店とか残してほしいですね。
そのうえで人となりを見てもらって、判断して映画製作にも協力してもらえれば嬉しいですね。

松本卓也監督の後ろ姿とサイン

インタビュー取材…哉司
企画・制作…Threeps

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